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債務引受フェイル(証券決済未了)

フェイルとは

  • 渡方参加者が、やむを得ない事由によって決済日の渡方証券決済時限(注1)までに有価証券の引渡しを行わなかった場合を、フェイル(図参照)といいます。この場合、JSCCではフェイルとなった銘柄の受方参加者(=被フェイル参加者)を確定させた上で(注2)、当該有価証券及びこれに対応する決済代金の授受を翌日に繰り越し、その繰越し分は、繰り越された日を決済日とする売買取引の決済と再ネッティングしたうえで授受することとなります(業務方法書第62条)。
  • ただし、決済日の遵守及びフェイル発生を抑止する仕組みとして、フェイルを起こした参加者に対してはペナルティー(遅延損害金等)を課すこととしております。
  • なお、フェイルは、以下3つの場合のいずれかにより解消します。
  • (1)繰り越された日の受渡決済による解消
    (2)再ネッティングによる解消(注3
    (3)バイイン実行に伴う解消

<図>DVP決済スキーム(フェイルが発生した場合の決済)

例)決済予定数量・金額
A証券:証券(甲株(100万円)渡し、乙株(150万円)受け)・資金(50万円払い)
B証券:証券(甲株(100万円)受け、乙株(150万円)渡し)・資金(50万円受領)
(注)A証券及びB証券とも上記以外の受渡しがないものとします。

フェイルが発生した場合のDVP決済スキーム

  • A証券は、予定受払代金(*1)が払い超50万円(*2)となっていることから、本来であれば甲株及び現金担保50万円を13時までにJSCCに差し入れなければなりません。しかし、甲株の引渡しにおいて、やむをえない事情によりフェイルを発生させてしまった場合、甲株部分の支払い不足額100万円を14時15分までに振り込むこと(追加支払い)となります。A証券はこの追加支払いを実行することにより、乙株は14時15分に受領できます。
  • B証券は、乙株を13時までにJSCCに引き渡すことにより、本来であれば甲株と資金50万円を受領することになりますが、A証券が甲株をフェイルしたことにより、資金150万円を14時45分に受領することになります。
  • JSCCは、A証券の現金担保を14時15分に資金決済に係る支払いに充当します。
*1:
当日発生するフェイルに係る資金授受が加味されていないため、この時点での受払代金は予定額となります。
*2:
50万円(払い超)=150万円(乙株)-100万円(甲株)
※注1:
株式会社証券保管振替機構の取扱銘柄である株券等のDVP決済において、証券決済時限、すなわち渡方参加者が当該有価証券をJSCCに引き渡す時限は決済日の13時です。
※注2:
フェイルとなった銘柄の受方参加者(=被フェイル参加者)の確定 JSCCは、フェイル銘柄に係る銘柄別受方参加者順位の最下位にある受方参加者から順に当該フェイル数量に達するまで被フェイルの割当を行います。なお、銘柄別受方参加者順位は以下の順序にしたがって決定します。
【最優先グループ】
バイイン請求数量は他のすべてに対して優先。
【優先グループ】
被フェイル参加者はそれ以外の参加者に対し優先。
【劣後グループ】
バイイン請求数量及び被フェイル参加者以外の参加者間順位は抽選により決定。
1次優先
基本属性
2次優先
バイイン請求日
3次優先
被フェイル日
銘柄別受方
参加者順位
備考
最優先グループ
・バイイン請求に係る数量
バイイン請求日
<先組>
被フェイル日
<先組>
1位 同一日の場合は抽選結果により順位付け
被フェイル日
<後組>
2位 同上
バイイン請求日
<後組>
被フェイル日
<先組>
3位 同上
被フェイル日
<後組>
4位 同上
優先グループ
・被フェイル参加者
被フェイル日
<先組>
5位 同上
被フェイル日
<後組>
6位 同上
劣後グループ
・上記以外の参加者
7位 抽選結果により順位付け
※注3:
再ネッティングによる解消
フェイル及び被フェイルにより翌日に繰り越された決済分と翌日を決済日とする売買数量との再ネッティングによる解消。この場合、フェイル及び被フェイルは、翌日を決済日とする売数量と買数量の差引数量と相殺されます。

フェイル削減へのJSCCの取組み

  • JSCCのDVP決済において、渡方参加者がやむを得ない事由によってDVP決済の決済時限までに有価証券の引渡しを行わなかった場合は、当該有価証券の引渡し及びそれに伴う金銭の授受を翌日に繰り延べて行うこととされています(業務方法書第62条)。
    しかしながら、マーケットでは約定時に予定していた決済日(T+3)に受渡しが行われることを前提に流動性が形成されていることから、マーケットの信頼性を確保し、高い流動性を維持するためにも、JSCCでは、フェイルは例外的なものと位置付けており、その乱用を禁じております(業務方法書第62条の2 第2項「証券決済未了乱用の禁止」)。
    したがって、全体のフェイル数量の抑制(決済の信頼性・安定性の確保、被フェイル参加者への影響の軽減)を図る観点から、参加者に対して制度の趣旨を徹底するため、JSCCでは日常的に数量の多いフェイル又は継続しているフェイルについて抽出し、当該参加者の受渡担当者等に対して、フェイル発生事由を確認するとともに速やかにフェイルを解消するよう要請しております。
  • また、フェイルの発生状況を参加者別に随時集計し、フェイルが多発していると認められる参加者に対しては、当該参加者における社内管理体制の見直し等を促すため、四半期毎にフェイル発生防止に係る削減要請(注4)を行っております。
※注4:
フェイルの削減要請を行った参加者数は以下のとおりです。
2003年1月~12月・・・延べ18社
2004年1月~12月・・・延べ30社
2005年1月~12月・・・延べ18社
2006年1月~12月・・・延べ16社
2007年1月~12月・・・延べ12社
2008年1月~12月・・・延べ12社
2009年1月~12月・・・延べ2社
2010年1月~12月・・・延べ1社
2011年1月~12月・・・延べ3社
2012年1月~12月・・・延べ2社
2013年1月~12月・・・延べ2社
2014年1月~12月・・・延べ4社
2015年1月~12月・・・延べ2社
  • さらに、「削減要請」の効果が見られない参加者(乱用禁止規定に抵触するおそれのある場合等)に対しては、業務方法書(第21条)に基づく調査を実施し、当該調査の結果、業務執行体制等に問題があると認められる場合には、業務方法書(第37条)に基づく勧告を行い、改善を求めます。加えて、前述の調査や勧告を行ったうえで、さらに対応が必要と判断される参加者に対しては、あらかじめ審問のうえ、業務執行体制等の改善指示(業務方法書第29条第1項)を行い、当該参加者が有する清算資格を有する各参加者に対し、その旨を通知します(業務方法書第34条第5項)。
  • なお、前述のとおり、フェイルを発生させた参加者に対しては、一定の金銭負担を課しており、概要は下表のようになります。
種類 料率 支払事由等
遅延損害金 フェイル代金相当額100円につき4銭 フェイルを発生させた日以降
遅延違約金 フェイル代金相当額100円につき2銭 原始決済日から起算して5日目以降の日以降もフェイルを継続させている場合に「遅延損害金」に加えて支払う。
期末銘柄等
遅延違約金
フェイル代金相当額100円につき8銭 株主の権利を確定するための基準日にフェイルを発生させた場合。