取引証拠金SPAN®とは

SPAN®とは

  • SPAN®(スパン;Standard Portfolio Analysis of Risk)とは、シカゴ・マーカンタイル取引所(Chicago Mercantile Exchange:CME)が1988年に開発したリスクベースの証拠金計算方法及びシステムであり、現在、世界の主要先物・オプション取引所・清算機関で採用されています。JSCCでは、CMEとライセンス契約を結び、CMEが開発したオリジナルのSPAN®を用いて証拠金の計算を行っております。
  • SPAN®は、商品毎に個別に証拠金を計算するのではなく、口座毎の上場デリバティブ取引のポートフォリオから生じるリスク額を感応度分析により計算するもので、オプション取引に関する非線形リスクを考慮するように設計されています。SPAN®による証拠金を計算するためには、プライス・スキャンレンジやボラティリティ・スキャンレンジをはじめ、商品内及び商品間の相関を含む様々なパラメーターを定める必要があります。
  • 価格変動を表すプライス・スキャンレンジについては、足元の価格変動をタイムリーに反映させるため、オプション・プレミアムから算出されたインプライド・ボラティリティを用いたパラメーターの決定方法(保有期間1日、信頼水準99%で計算)を採用しています。オプション取引のない商品については、過去の価格変動を参照してパラメーターを決定する方法(保有期間1日、参照期間54週間、信頼水準99%で計算)を採用しています。
  • ボラティリティ変動を表すボラティリティ・スキャンレンジについては、過去のボラティリティ変動を参照するパラメーターの決定方法(保有期間1日、参照期間少なくとも54週間、信頼水準99%で計算)を採用しています。

SPAN®を用いた証拠金の計算方法

  • SPAN®で算出した証拠金の所要額は、そのポートフォリオから発生する翌日1日分の予想損益額(SPAN証拠金額)に、ネット・オプション価値を考慮した額となります。
    証拠金所要額 = SPAN証拠金額 - ネット・オプション価値の総額
  • SPAN証拠金額
    理論上相殺できる損失額を差し引いて、相場の上げ下げ等により、ポートフォリオ全体で損失する可能性のある金額です
  • ネット・オプション価値の総額
    ネット・オプション価値の総額は、オプションが権利行使された場合等に生じるリスクをカバーするために考慮するもので、買いオプションの価値の総額から、売りオプションの価値の総額を差し引くことによって求めます。
    買いオプションの価値とは、オプションを転売し又は権利行使を行った時に受け取れる金銭の額に相当し、売りオプションの価値とはオプションの買戻しを行う又は権利行使の割当てを受けたときに支払う必要がある金銭の額に相当します。
    したがって、ネット・オプション価値の総額が正の額である場合には、「SPAN証拠金額」から「ネット・オプション価値の総額」を差し引くこととなり、また、ネット・オプション価値の総額が負の額である場合には、「SPAN証拠金額」に「ネット・オプション価値の総額」を加えることとなります。
  • より詳細なSPAN証拠金の計算方法については、以下のファイルをご参照ください。
SPAN計算方法の解説 PDF

証拠金の計算例

例1 ある投資家のポートフォリオがTOPIX先物6月限月取引の売り5単位と買い10単位、同9月限月取引の売り5単位と買い10単位であれば、SPAN®では、次のように証拠金所要額が計算されます。

ポートフォリオ
TOPIX先物 6月限 9月限
5 10 5 10

同一限月内でのネットポジションは、以下のとおりとなります。

限月内ネットポジション 6月限 9月限
5 5

限月間(6月限月と9月限月)でのネットポジションは、買いポジションの10単位となります。
ここで、SPANパラメーターは以下のように仮定します。

プライス・スキャンレンジ:50万円

1単位あたりの証拠金所要額は、当該商品のプライス・スキャンレンジとなりますので、この場合、50万円を10単位に乗じます。つまり、50万円×10単位=500万円が証拠金所要額となります。

例2 ある投資家のポートフォリオがTOPIX先物6月限取引の売り5単位と買い10単位、同9月限月取引の売り3単位であれば、SPAN® では、次のように証拠金所要額が計算されます。

ポートフォリオ
TOPIX先物 6月限 9月限
5 10 3 0

同一限月内でのネットポジションは、以下のとおりとなります。

限月内ネットポジション 6月限 9月限
5 3

限月間(6月限月と9月限月)でのネットポジションは、

限月間ネットポジション 6月限 9月限
2

となり、商品内スプレッド数(限月間で相殺可能な売りネットポジションと買いネットポジションの組合せの数)は、

商品内スプレッド数 6月限 9月限
3

となります。

ここで、SPANパラメーターは以下のように仮定します。

プライス・スキャンレンジ:50万円
1ネット・デルタあたり商品内スプレッド割増額:5万円

この場合、証拠金所要額は限月間ネットポジションにプライス・スキャンレンジを乗じたものに、商品内スプレッド数に1ネット・デルタあたりの商品内デルタスプレッド割増額を乗じたものの和となります。つまり、50万円×2単位+5万円×3単位=115万円となります。

より詳細な計算例につきましては、以下のファイルをご覧ください。

証拠金所要額計算例 PDF

プライス・スキャンレンジの算出方式

  • プライス・スキャンレンジはSPAN®に使用するパラメーターの一種で、先物取引を1単位売建て/買建てた場合に必要となる最低証拠金を示します。(mini取引については、プライス・スキャンレンジの10分の1の額が最低証拠金となります)。 ただし、複数の限月、あるいは他の先物取引・オプション取引を保有する場合等は最低証拠金が増減する場合があります。 プライス・スキャンレンジの算出方法については、さまざまな方法がありますが、当社では、以下の算出方式を用いております。

【算出方式】
ボラティリティ・インデックス(VI)方式
調整ボラティリティ・インデックス(調整VI)方式
ヒストリカル・シミュレーション(HS)方式

①VI方式
―日経平均株価グループ、長期国債グループ、ダウ・ジョーンズ工業株平均株価グループ及びNifty 50グループ
②調整VI方式
―TOPIXグループ、JPX日経インデックス400グループ、TOPIX Core30グループ及びRNプライム指数グループ

※当社が定めるボラティリティ
①当社が指定する基準日におけるVI
②当社が指定する基準日におけるVIに、日経平均株価の基準日から起算して過去250営業日のヒストリカル・ボラティリティ(HV)に対する当該商品グループにおける原資産の基準日から起算して過去250営業日のHVの比を乗じた数値

①、②の双方において、当社が定めるボラティリティは、基準日におけるVI(調整VI)又は基準日から起算して過去5営業日間のVI(調整VI)の平均値のうち小さい方の数値とする。ただし、当該数値が、基準日から起算して過去250営業日間のVI(調整VI)の平均値(250日間平均VI)を下回る場合は、250日間平均VIを当社が定めるボラティリティとする。

  • 日経平均株価グループにおけるプライス・スキャンレンジについて、基準日(毎週最終営業日)における日経平均株価終値が14411.86で、ボラティリティ・インデックスが26.30であったとします。上記数式に当てはめると、以下の式が得られます。

    (26.30 ÷ 100) ÷ √250 × 2.58 × 14411.86 ≒ 618.48

  • この数値について、30の整数倍に切り上げた結果(630円)の1,000倍である630,000円が、 基準日の翌週に適用されるプライス・スキャンレンジとなります。(この場合、日経225miniの建玉1単位に必要な証拠金は、63,000円(プライス・スキャンレンジの10分の1)です。)

③HS方式

※商品グループごとにHS方式により算出した乗数
次のa・bに掲げる各期間における当該商品グループの原資産の日々の価格変動率のうち、すべての取引日の99%をカバーできる価格変動率のうち大きい方の値。
     a 基準日までの4週間     b 基準日までの54週間
ただし、上記の方法で計算した乗数(N%)により算出したPSRについて、原資産の値動きに対するカバー率が低下した場合は、同カバー率が改善するまでの間、当社が定める乗数(固定値)を設定する。

SPANパラメーターの臨時見直し制度

  • SPANパラメーターは、原則として、毎週最終営業日に翌週分の新パラメーターを算出・公表しておりますが、相場急変動時においては、パラメーターを臨時に見直すことがあります。
  • 具体的には、相場の急変動により、当社が指定した先物・オプション取引に係る商品グループの原資産の終値が、あらかじめ定めた範囲※を超えて変動した場合に、当社は当日を基準日として当該商品グループに係るSPANパラメーターの再計算を行い、再計算したSPANパラメーターが翌営業日の証拠金計算に用いる予定のSPANパラメーターを上回る場合には、当該再計算したSPANパラメーターを翌営業日の証拠金計算から適用します。見直しの概要については、下記フローをご覧ください。
  • ※「あらかじめ定めた範囲」とは、当社が指定する各商品グループに適用されているプライス・スキャンレンジ基準値の90%を指します。例えば、日経平均株価グループのプライス・スキャンレンジ基準値が\900であれば、日経平均株価が\810(=\900×0.9)超変動した場合に当該商品に係るSPANパラメーターの見直しを行います。
  • プライス・スキャンレンジ基準値とは、プライス・スキャンレンジを取引単位で除した数値をいいます。

SPAN® 及び証拠金制度に関するFAQ(Frequently Asked Question)

  • TOPIX先物取引の売り(買い)ポジションを持っているのですが、SPAN証拠金はどのように計算されますか?

    Ans.単一限月の売り(買い)ポジションのみを保有し、オプション取引を行っていない場合には、当該商品のプライス・スキャンレンジにポジション(単位)を掛けたものが証拠金所要額となります。

  • 先物商品におけるMini取引とLarge取引との間で証拠金割引は認められますか?

    Ans. 証拠金計算においてMini取引とLarge取引は100%リスク相殺できるように設定されております。よって,同一限月のMini取引を10単位買い建てる一方でLarge取引を1単位売り建てた場合,計算上の証拠金はゼロになります。ただ,これはあくまでSPAN(R)を用いて計算された結果であり,実際の証拠金は証券会社が決定いたしますので,詳しくは証券会社へお問合せください。

  • 日経225先物取引とTOPIX先物取引との間での証拠金割引は認められますか?

    Ans. 証拠金計算において日経225先物取引とTOPIX先物取引はリスク相殺できるように設定されております。よって,同一限月の日経225先物取引を1単位買い建てる一方でTOPIX先物取引を1単位売り建てた場合,計算上の証拠金はそれぞれの1枚あたりの証拠金を合算した額よりも小さくなります。ただ,これはあくまでSPAN(R)を用いて計算された結果であり,実際の証拠金は証券会社が決定いたしますので,詳しくは証券会社へお問合せください。

  • 差換預託とは何ですか?

    Ans. 証券会社が顧客から差し入れられた金銭又は有価証券をそのままJSCCに預託することを「直接預託」といい,それに対し,顧客の同意がある場合に当該金銭又は有価証券相当額以上の証券会社が保有する金銭又は有価証券をJSCCに預託することを「差換預託」といいます。

  • 証拠金の有価証券による代用は可能ですか?

    Ans. 有価証券により代用することが可能です。代用有価証券の範囲や掛目は当社の規則で定めています。証券会社によっては有価証券による代用を取扱っていない場合もあります。

  • 自分でSPAN証拠金を計算したいのですが。

    Ans. SPAN証拠金の計算には、JSCCが日々公表するSPANリスク・パラメーター・ファイルと先物・オプションの建玉情報が必要です。これらのデータをパソコン用のソフトウェアであるPC-SPAN®等に入力することで、証拠金所要額の計算結果が出力されます。

SPAN®及びPC-SPAN®は、CME(Chicago Mercantile Exchange)に登録された商標です。SPAN®に関する全ての権利はCMEが所有しており、JSCCはその使用承諾を受けています。CMEは、いかなる者もしくは団体によるSPAN®の利用について、一切の責任を負いません。